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CONTENTS
STUDIO18
 
平田スタジオ「‌New Luxury House‌」

 何を贅沢と考えるか、というのは案外深い問題である。豪華絢爛な大豪邸に住むことを最高の贅沢と考える人はもはやそれほどいない。むしろ何が贅沢かを新たに発見することこそ、最高の贅沢なのかもしれない。しかしそれはどんな価値観にもとづく、どんな空間なのだろうか。

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​「住宅と熟成‌ ーライフとボディ」 伊藤健|平田研究室

育てる住宅。人間の成長と樹々の成長。

それぞれの異なる時間軸の重なりをデザインした。現行の建築の正しさや、我々の生活に対するあたりまえに疑問を投げかけたかった。

人樹一体。建築の先を見据えた、熟成する住宅を提案する。

育てる住宅。人間の成長と樹々の成長。

それぞれの異なる時間軸の重なりをデザインした。現行の建築の正しさや、我々の生活に対するあたりまえに疑問を投げかけたかった。

人樹一体。建築の先を見据えた、熟成する住宅を提案する。

​編集委員推薦理由

彼の作品は建築と自然の関係を見直し、長い年月をかけ都市に立体的な公園を生み出すことで、人と建築との新たな関係を作っている。都市の移り変わりが激しく、自然との関わりが希薄な現代社会において、都市や自然に対する大きな視点を持ったこの作品は、新たな「贅沢」への示唆に富むものではないだろうか。

 
ダニエルスタジオ「ある島の可能性」

 In February 2017, Osaka municipal authorities announced their intention to develop Yumeshima Island (390 hectares of reclaimed land in Osaka Bay) as the site of World Expo 2025 and an “integrated resort” multi-purpose casino complex. This studio will focus on the possibilities for the urban design of the island and the architectural design of the integrated resort.

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「Yumeshima Project − タブララサに物語を設計する −‌」 浦地 陽香|ダニエル研究室

 大阪湾に浮かぶ人工島、夢洲。「大阪の負の遺産」とも呼ばれるこの島に、人々の営みはほぼなく、たまだ歴史やコンテクストも存在していない。まっさらな白いキャンバスのような敷地に、自由に曲線を描くことを出発点にして、夢洲に統合型リゾートを計画する。そびえ立つ山々のような高層ホテル、大きな水たまりのような屋外ステージ、長い砂州のようなブリッジ。曲線の起伏は、やがて地形のような建築となり、タブララサに新たな物語をもたらす。

​編集委員推薦理由

彼女の作品は立体的に交差する3つの曲線を用いて、都市スケールから身体スケールを軽やかに横断している。明解でありながらも力強いこのダイアグラムによって、都市スケールの一つの物語の中に、起伏に富んださまざまな形態の建築物群を作り出しているこの作品は、夢洲という土地に新たな顔を与えている。

 
神吉スタジオ「場所の力」

これまでにない変化をみせる現代の都市・地域で、どのようなランドスケープが受け継がれ創造され得るだろうか。新しいランドスケープに向かうために、​場所に潜む力を読み、その力を顕在化させる建築と都市・地域空間の提案をめざす。各人が選ぶ敷地およびその位置する都市・地域の「場所の力」の読解作業を重視しつつ進める。敷地は、全員参加でそれぞれの現地調査に赴くため、京都から日帰り可能圏内とし、自由に選ぶ。

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​「不離宮」 中村 文彦|神吉研究室

情報が氾濫する現代において、人々はますます受動的になっている。要らぬものはほっぽって、外に独りで歩いてみよう。忘れる、思い出す、考える、思いつく。こうした自らの内省の媒体となるのは、場所毎に、時間毎に、絶えず変化し続ける土地の風景である。

まちに住宅の機能をばらまく。まち全体が家となり、建物内外の風景がシームレスに繋がる。あるいは風景の中に、人が、建物が、佇む。

​編集委員推薦理由

東日本大震災以降定石になった「シェア+コミュニティ」の手法に対して、この提案では人びとがただ「シェア」の生む時間的・経済的余剰を求めて、したたかに自由に暮らす。2018年以降の新しい社会を示すのは、シェアが生み出すゆとり=貨幣経済とその共同体から逸脱して逆に利用するような一面を持つ生活なのかもしれない。

 
三浦スタジオ「働き方を変える建築‌」

 わが国では、少子高齢化とそれに伴う急激な生産年齢人口の減少に対応するため、より柔軟な働き方を受入れる社会の構築が求められている。「ブラック企業」と呼ばれる、労働者を酷使する企業の是正はもちろん、女性や若者が活躍しやすい環境整備、高齢者の就業促進、病気の治療と仕事の両立、外国人人材の受け入れ、テレワークや副業兼業などの柔軟な働き方の導入などが課題とされる。本スタジオでは、多様な働き方を選択可能にする社会の実現にむけて、各自でテーマを設定し、その解決を建築で提案する。

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​「‌まちとビルの新しい付加価値 − 新しい働き方を可能にするオフィス街の保育園 −‌」 
山口 航平|三浦研究室

子育て中の親にとって仕事も子どもと過ごす時間も大切です。ここで新たにオフィスと保育園の異なる性質を持った空間を両立・混在させた建築を計画し、新しい働き方と子どもの成長を提案します。この建築内では新しい空間の使い方がどんどん想像され、オフィスの生産性と子どもの豊かな体験に貢献します。淀屋橋を敷地にオフィスが子どもという新しい付加価値を持ち始め、中之島公園などに出かける子どもたちの活気がまちへと還元されていきます。この建築は働く親だけではなく、まち全体にとっても良い影響を与えていくと考えられます。

​編集委員推薦理由

現代社会の働き方を変えるうえで、働く親と子どもとの適切な距離感を生む建築が求められるなか、彼の作品は親子が顔を合わせる時間に注目し、一日の中で変化する距離を現実的につくり出している。加えて、数棟のビルをまとめて再計画する斬新なアイデアは、さまざまな都市に適用できる、大きな可能性を持っています。

『traverse 新建築学研究』は京都大学建築系教室が編集・発行している機関誌です。17年度より紙媒体での出版を止め、web上で記事を発信していく事となりました。
ABOUT
BACK NUMBER
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特集:建築を生成するイメージ
2014.10 | 112p
ホンマタカシ,八島正年+八島夕子,高橋和志,島越けい子
ダイアグラムによる建築の構想
​竹山聖,布野修司,大崎純,
古阪秀三,平野利樹
interview:
project:
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15
18
interview:
project:
essay:
2017.10 | 112p
インタビュー:五十嵐淳
三谷純,奥田信雄,魚谷繁礼,五十嵐淳
竹山研究室「脱色する空間」
竹山聖,​大崎純, 小椋大輔, 布野修司,古阪秀三, 牧紀男, 
Galyna SHEVTSOVA
インタビュー:野又穫
2016.10 | 128p
野又穫,松井るみ,石澤宰,柏木由人
​竹山研究室「無何有の郷」
​竹山聖,山岸常人,布野修司,三浦研,牧紀男,古阪秀三,川上聡
interview:
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16
interview:
project:
essay:
中野達男,石山友美,TERRAIN architects
竹山研究室「コーラス」
​竹山聖,布野修司,大崎純,古阪秀三,牧紀男
2015.10 | 96p
インタビュー:石山友美
14
interview:
project:
 
essay:
2013.10 | 120p
特集:アートと空間
松井冬子,井村優三,豊田郁美,
アタカケンタロウ
竹山研究室「個人美術館の構想」
​竹山聖,布野修司,小室舞,
中井茂樹