©  2017 Traverse Editional Committee 編集・発行 traverse 編集委員会

〒615-8540 京都市西京区京都大学桂 京都大学建築系教室

TEL:075-383-2908

info@traverse-architecture.com

  • Twitter Clean
LINK
CONTENTS

「直観とは意識的に形態を創りだそうとする新しい理性のことだ」とマレーヴィチは語る。因襲的思考を脱し新たな美学を築こうとした100年前の試みに思いを馳せつつ、諸々の柵から離れた建築のあり方を考えていきたい。

                              ー竹山聖

シュプレマティズム  ー  脱色する空間

本題では、以下のプロセスで設計をおこなった。

1.マレーヴィチの作品等からシュプレマティズムについて理解を深め、

「脱色する空間」という言葉を独自の解釈で定義する。

2.方位・等高線・道路以外の情報が隠された敷地において、

上記の定義に従って空間を設計する。

読書記録
カジミール・マレーヴィチ「キュビズム、未来主義からシュプレマティズムへー新しい絵画のリアリズム」「シュプレマティズム」『ロシア・アヴァンギャルド芸術』、J.E.ボウルト編著、川端香男里他訳、岩波書店、1988
竹山聖「形式化への意志と醒めた爽やかな楽観」『現代建築を担う海外の建築家101人』、鹿島出版会、1985
村上春樹『騎士団長殺し』新潮社、2017
セミール・ゼキ『脳は美をいかに感じるかーピカソやモネが見た世界』、河内十郎監訳、日本経済新聞社、2002

 もくじ

 → カジミール・マレーヴィチとは

 ​→ 「脱色」をめぐる言葉たち

 → それぞれの「脱色する」

 → 作品

 → 【エッセイ】竹山聖​ 「脱色する空間」

 
カジミール・マレーヴィチとは
ウクライナ・ロシア・ソ連の芸術家。キュビズムや未来派の強い影響を受けて派生した後、無対象を主義とする「シュプレマティズム」に達した。「White on White」など意味を徹底的に排した抽象的作品を追求しており、戦前における抽象絵画の一つの到達点でもあると評価されている。
「Black Square」(1915)
「White on White」(1918)
 
「空の青はシュプレマティズムのシステムによって征服され、漂白され、本当の永遠の概念を示す超越的な白」へと移行してゆき、そうして空色の背景から開放されたのである。」
第10回《国家展》によせられた声明文(1919年)
 
「画家は、もし純粋な画家たらんとすれば、主題と対象を捨てるべきなのである。
「キュービズム、未来主義からシュプレマティズムへー新しい絵画のリアリズム」(1915年)
 
「脱色」をめぐる言葉たち
見慣れているのに、どんなものとも関連づかない。馴染み深いのに、どんな情景も呼び起こさない。意識の中にある繋がりを断つことによる驚き。
建築は形から
脱しなければ
ならない。
マレーヴィチがたどり着いた究極の脱色は「白の上の白」だろう。これ以上の抽象を求めても、その先に道はおそらくない。脱色されきった感覚を保ったまま新たな絵画を生み出そうとしたマレーヴィチの姿勢にならいたい。
​直観の中に
新しい理性の
輝きがある。
白紙のキャンバスに描く絵画と、既に機能によって着色された敷地に設計する建築の差を考える。
プログラムを排除し
建築を解放する。
合理性とは全体が織りなす秩序であり、
非合理性とはそのものが持つ欲望である。
 
それぞれの「脱色する」
境界を曖昧にする
境界を曖昧にする
加藤英理
​余白の空間をつなげる
沖林拓実
失うことで新しい意味を得る
千田記可
​光から情報を排除する
​加藤慶
秩序を重ねて崩す
田原迫はるか
​作品ページへ >
規定の建築要素を結び直す
菱田吾朗
​作品ページへ >
空間を歪ませる
小林章太
​作品ページへ >
記憶から空間を生み出す
山口大樹
​作品ページへ >
建築の構成要素から逸脱する
川本稜
​作品ページへ >
関係性がノイズまたは静寂を生む
山田鉄馬
場所性と機能を排除する
三浦健
​作品ページへ >
開口で内と外を再構成する
高橋一稀
単純空間を再定義する
​Jun Qi Wang
​作品ページへ >
関係性を再構築する
田中健一郎
​作品ページへ >
空間の本質から形態を操作する
Celine Jamin
NEXT PAGE
『traverse 新建築学研究』は京都大学建築系教室が編集・発行している機関誌です。17年度より紙媒体での出版を止め、web上で記事を発信していく事となりました。
ABOUT
BACK NUMBER
17
特集:建築を生成するイメージ
2014.10 | 112p
ホンマタカシ,八島正年+八島夕子,高橋和志,島越けい子
ダイアグラムによる建築の構想
​竹山聖,布野修司,大崎純,
古阪秀三,平野利樹
interview:
project:
essay:
15
18
interview:
project:
essay:
2017.10 | 112p
インタビュー:五十嵐淳
三谷純,奥田信雄,魚谷繁礼,五十嵐淳
竹山研究室「脱色する空間」
竹山聖,​大崎純, 小椋大輔, 布野修司,古阪秀三, 牧紀男, 
Galyna SHEVTSOVA
インタビュー:野又穫
2016.10 | 128p
野又穫,松井るみ,石澤宰,柏木由人
​竹山研究室「無何有の郷」
​竹山聖,山岸常人,布野修司,三浦研,牧紀男,古阪秀三,川上聡
interview:
project:
essay:
16
interview:
project:
essay:
中野達男,石山友美,TERRAIN architects
竹山研究室「コーラス」
​竹山聖,布野修司,大崎純,古阪秀三,牧紀男
2015.10 | 96p
インタビュー:石山友美
14
interview:
project:
 
essay:
2013.10 | 120p
特集:アートと空間
松井冬子,井村優三,豊田郁美,
アタカケンタロウ
竹山研究室「個人美術館の構想」
​竹山聖,布野修司,小室舞,
中井茂樹