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【インタビュー】イムラアートギャラリー代表・井村優三

 文化と経済の交差点で

聞き手 鈴木・上村
記録  西尾

2013年6月26日イムラアートギャラリー京都にて

 

京都で若手アーティストを数多く手がけるイムラアートギャラリーをたずね、国内外の美術界で辣腕を振るう井村優三さんにお話を伺った。

三好彩 『ブレインホース机の下で』 2012
油彩、ペンキ、パネル 162×291cm
©Sae MIYOSHI courtesy of imura art gallery

― 展覧会をつくる

鈴木 ギャラリーでの展示方法や展示のシークエンスについてお聞きしたいです。それについても作家とギャラリーが共同で考えていかれるのですか。

井村 作家とうちのスタッフでプランを作って、メインとなる作品をどこに配置すべきかなどを考えていきます。構成にせよ、並べ方にせよ、美しくないといけないから、注意しながら。作家が独りよがりになりすぎないよう、ギャラリー側は客観的な視点でアドバイスをします。展示は作家とスタッフの共同作業みたいなところがありますね。

鈴木 ここのギャラリーもそうですが、基本的には真っ白ですよね。壁面とか展示空間自体に加工する展示をやることはありますか。

井村 東京で一度真っ黒にして映像をやったことはあるけど、基本的にはホワイトキューブにしますね。空間が絵に勝ってしまうと困りますし。最近フランスのオルセー美術館で、印象派にはこの色が合うって言って、真っ白だった部屋を少しグレーにしたんだよね。あれは結構話題性がありました。ホワイトキューブでいいのかなって疑問に思うときはあるんですが、費用もかかってくるし、難しいところですね。美術館はまだしもギャラリーは、ホワイトキューブなのかな、やっぱり。

鈴木 ギャラリーでの展覧会の目的は、なんといってもまず作品を売ることにあるわけですよね。ギャラリーで作品が売れるときの状況はどういったものなのでしょうか。

井村 まずお客さんの中には「ギャラリーってなんですか」という人も結構いらっしゃるんですよ。そういう方の場合、外から絵を眺めているので、中に招き入れます。しばらく見ていただいたら、上にもありますよって誘って。興味をもたれたら、お茶でもどうぞと言って座ってもらって、世間話をしながら興味をもたれた絵の話をします。作品の購入に興味のある方はその絵についてどんどん質問してくださるので、それに答えながら。それで、購入する方は購入していく、といった具合です。買って終わりではなくて、購入されたあとも、ギャラリーと買い手とのやりとりはずっと続きます。メンテナンスなんかもそうだし、その人の展覧会があったら借りに行くこともします。保険をかける際の手続きや、美術運送の手配なんかもギャラリーの仕事です。
 

― ギャラリスト同士のつながり

鈴木 ギャラリーの外でなさっているお仕事について聞かせていただけますか。

井村 プランニング事業、これはコンテンツ事業みたいなもので、展覧会の内容を一から考え、出品作品を決め、様々な交渉をして、一つの展覧会を作ります。最近では、ミヅマアートギャラリーの三潴末雄氏と共同で、ジパング展の企画制作、山口晃さんの展覧会も企画しました。一つのギャラリーが単独で何かをやる、ということには限界があります。例えば、ジパング展では、ミヅマさんと協力し、展覧会を国内で7会場巡回させました。山口晃展は第一会場が京都で、しかも、平等院に襖絵を奉納するという一大プロジェクトがありましたので、京都を拠点にしている私達が協力しながらという形をとりました。
又、昨年はART KYOTOというメイン会場、サブ会場、両方合わせ100件のギャラリーが参加した初の大規模なアートフェアを京都の4つのギャラリーが共同で事務運営を行うというように、ギャラリー同士で協力し、少しでも現代アートを盛り上げていきたいという思いがあります。
それと、ギャラリスト同士というのは方向性が似ているもの同士で集まってきたりするんです。ミヅマアートギャラリーの作家とうちの作家…会田誠さん、山口晃さん、鴻池朋子さん、三瀬夏之介君、山本太郎君…並べても違和感が無いでしょ。抱えているアーティストが似ているギャラリストは、考え方も似ていることが多いんです。だから「ジパング」っていう日本に根ざした展覧会やろうってなったときも、必要な人が揃っていてすんなりといきました。

 

『traverse 新建築学研究』は京都大学建築系教室が編集・発行している機関誌です。17年度より紙媒体での出版を止め、web上で記事を発信していく事となりました。
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