【プロジェクト】 田中 由乃

 イジュニームニェスト(Jižní Město)におけ

 地域の魅力探しイベント

■イベントの背景と目的
 チェコ共和国プラハ市には、パネル工法によるプレハブアパートが建ち並ぶ社会主義時代の住宅開発地が多数存在する。これまで一般的に、社会主義時代の住宅開発地というと、画一的だ、無個性だといったネガティブなイメージで語られることが多かったが、現在でも多くのプラハ市民の生活の場となっている。2015年9月17日、18日、19日、プラハ市内にある社会主義時代の大規模住宅開発地の1つであるイジュニームニェスト(South Townの意)(図1)において、住民を対象に自らが地域の魅力について考え、お互いの考えを共有する機会を創出するためにイベントを行ったので、その様子を紹介する。


■地域の魅力探しイベントの実施
 プラハ11区役所の協力を得て、区が行う地域イベント「The days of Prague 11」(2015年9月開催)の一部として、ダンスや歌が披露されるメインステージのある公園の一部にテントを設置し、ガリバーマップ註1作成イベント「プラハ11区の面白いところマップ」を実施した。参加者には、好きなところ、よく行くところなどについて、縦3m×横6mのガリバーマップ上で場所を探してもらい、コメントを書いてもらった(図2)。周辺には、プラハ11区の開発当初から現在までの航空写真や社会主義時代の開発計画図、これまでの筆者の研究成果をまとめたポスター、日本の団地紹介のポスターを展示した。運営に関してはチェコ語通訳のため通訳者1人に協力をお願いした。

図2 イベントの様子 撮影:筆者(2015年)
  - 社会主義時代のプレハブ住宅開発地の再価値化を目的として
図1 プラハ11区イジュニームニェスト 撮影:筆者(2015年)

■イベントの結果

 3日間で約400枚のカードが集まった(図3、図4)。特に子どもたちが多く参加し、公園や森といった緑地、学校、商業施設、スポーツ施設など、それぞれが普段から日常的に利用していると思われる場所や施設に多くのカードが集まった。 これまで同地域では、地域について考える住民参加のイベントの経験がなく、区役所の方に最初にイベントを提案した際は、人が来ないのでは、と心配されたが、4年間の研究を通じて区役所の方々との信頼関係を築き、今回のイベント実施に繋がった。上手くいくかはやってみなければ分からないところもあったが、結果として、開発当初と現在の航空写真を見比べる住民の姿や、ガリバーマップを見に来た住民同士が会話する姿も見られ、プラハ11区住民が自身の暮らす地域について改めて考えたり、他者と意見を交わしたりする機会を提供できたのではないかと考えている。

図3 記入されたコメントカードの例
図4 ワークショップで記入されたコメントカードの分布
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『traverse 新建築学研究』は京都大学建築系教室が編集・発行している機関誌です。17年度より紙媒体での出版を止め、web上で記事を発信していく事となりました。
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