
traverse 20 特集:「欠落」
2020.01 | 112p
interview:
project:
essay:
木村吉成,松本尚子
宮本佳明
伊藤東凌,井上章一
竹山研究室「オブジェ・アイコン・モニュメント」
神吉研究室「Projects of Kanki lab.」
金多研究室「自分の仕事を好きにならな」
布野修司,竹山聖, 大崎純, 牧紀男, 柳沢究
清山陽平,成原隆訓,石井一貴
RELAY INTERVIEW
木村吉成+松本尚子|受容される「欠落」
ー多義性を包容する大らかな構え
スキを生み、誤読を許容する建築の構えを求め、木村松本の建築はこの先も無言かつ雄弁に建ち続けるであろう。自身のプロジェクト、そして京都について。インタビューを通し木村松本の建築家像を探ろうと試みた。
INTERVIEW
宮本佳明|「終わり」のない建築
建築家
建築に欠落が生じた時、その建築は可能性を帯びる。阪神大震災で生まれた「ゼンカイ」ハウスで設計活動を行っている建築家 宮本佳明氏。建築に終わりはあるのか、終わらせないために何ができるのか。建築の欠落に挑戦的に向き合ってきた宮本氏に問う。
伊藤東凌|井上章一|失われるもの、遺すもの
建仁寺塔頭両足院 副住職|建築史家
様々な歴史が重層的に堆積してきた京都。変化し続ける都市のなかで何が失われ、これから何を遺していくべきなのか。今後の京都について改めて考えるべく、伊藤東凌氏、井上章一氏の2人にお話を伺った。
PROJECT
竹山研究室 |オブジェ・アイコン・モニュメント
traverse編集委員会 |20周年記念座談会
神吉研究室 |Projects of Kanki lab.
金多研究室 |自分の仕事を好きにならな
ESSAY
牧紀男|東日本大震災からの復興雑感
—今後の復興対策につながる新たな取り組み—
STUDIO
「欠落」というものは生命・物質において、宿命であり、逃れることができないものです。 日常では様々なものが「欠落」し、代替する新たなものに塗り替えられます。しかし、 歴史的建造物の保存、災害からの復興、絶滅危惧動物の保護など形態は様々ですが、人は 「欠落」と立ち向かい続けています。「欠落」は人にとって乗り越えるためのものであると いえないでしょうか。 一方で、「欠落」は美的なものとしても捉えられます。ルネサンス期のミケランジェロ の彫刻は、未完の美というものを体現していると言われています。また、廃墟美という概 念では、廃墟の持つ静寂、寂寥、孤独が美を形づくるとされています。時の流れを想起さ せる「欠落」は、ともすれば完全なものよりも豊かな表情を見せるのかもしれません。 また、メタボリズムの考えに基づけば、循環し自生する都市において、「欠落」は新し い存在を生むための契機であるともいえます。都市における「欠落」に目を向けることは、 求められる建築物や都市に対しての建築家の役割について解答を得る手掛かりになるので はないでしょうか。
ノートルダム大聖堂の火災という衝撃的な「欠落」のあった今、悲劇的なイメージを越えた、「欠落」というものを考えていきます。
本号の企画や京都大学建築系教室の先生方と京都大学の学生によるエッセイを通じて、 建築や都市の「欠落」から伺える様々な可能性を論じる契機になればと考えています。