【プロジェクト】小林・落合研究室

地域に根ざす設計技術・地域に根ざす人間居住

教授 小林広英

准教授 落合知帆

助教 宮地茉莉

たねや農藝プロジェクト(2014年、上)とグゥール再建プロジェクト(2018年、下)

 人間環境設計論分野は、2002年新たに設立された大学院地球環境学堂に所属する。建築学科・建築学専攻には工学部兼担として関わり、そのため研究室には建築系学生とともに地球環境学舎(環境マネジメント専攻、地球環境学専攻)で学ぶ国内外の学生が在籍し、多様な人材が参集し日々活動している。本研究室では、設立当初から持続的な人間環境を構築することを目指し、下記のような理念のもと研究を進めている。

「変容著しい現代社会において、地域の文化や風土から持続的人間環境のあり方を追求する。美しい自然から災害を起こす自然まで、多様な姿で示される地球環境の実相と、それらに対応してきた持続的な人間環境の構造を、実際の都市や集落から学ぶ。得られた知見や知識を施策、計画、デザインとして具現化し実践的な社会適応を試みる。「ひと・くらし・すまい・ちいき」という人間環境のあらゆるスケールに存する社会的課題を研究対象とする。」

 この理念から、デザイン実践としての「地域に根ざす設計技術」、フィールド研究としての「地域に根ざす人間居住」が構成される。

【地域に根ざす設計技術】

現代社会の文脈における住まいや暮らしの再構築・発展的継承のために、環境デザインやソーシャルデザインの思考と方法を提示し実践的試行をおこなう。

【地域に根ざす人間居住】

自然環境と共生する集落や、多様な文化を内包する歴史都市のフィールド調査から、調和ある人間環境構築の知恵と実践のしくみを解明し、その持続可能性を探求する。

「地域に根ざす」という視点から、おのずと建築だけでなくその周辺領域にも感度を高め、デザインやマネジメントの枠組みを拡張する。また、多様な地域環境に対して学際的な連携、国際的な共同、そして地域住民との協働に取り組む。現在、前者には「風土建築の発展的継承」、「環境デザインの開発と実践」、後者には「地域資源とコミュニティ」、「自然災害と人間居住」のテーマ軸を立ち上げている。

これら研究から実践まで展開する様々な活動は、同一線上にあり相互に繋がっているといえる。例えば、「地域に根ざす設計技術」は、グローバル化が進む現代社会において、もう一度ローカリティの優位な要素を再評価する建築的試行であるが、「風土建築の発展的継承を目的とした再建プロジェクト(再生)」と、「未利用資源を活用した新たな環境デザインの提案と社会実装(創生)」は、地域資源と関わる建築のあり方を定義・試行していく点で、等価な創造的活動と捉えている。このような関係性について、次ページ以降、各研究テーマの具体的な取り組みを紹介しながら、多様な研究・実践活動のシークエンスをみていく。

【近年の研究・実践プロジェクト】

 風土建築の発展的継承

  風土建築の再建プロジェクト(ベトナム、タイ、フィジー、バヌアツ、2007年−)

  アジア太平洋木造建築文化と在来建築技術(2008年−)

  現代社会における風土建築の多面的評価(ベトナム、フィジー、タイ、2016−2019年)

 環境デザインの開発と実践

  バンブーグリーンハウス・プロジェクト(日本各地、2008年−) 

  里山と連環する建築プロジェクト“たねや農藝“(滋賀県近江八幡市、2013−2016年)

  景観舗装デザインプロジェクト(大阪府八尾市、2014−2015年、2018−2020年)

 地域資源とコミュニティ

  無住集落再生・新里人構想プロジェクト(福井県名田庄、2016年−)

  砺波散村伝統住居の新築プロセス(富山県砺波市、2016年−)

  ソーシャルハウジング改善プロジェクト(ミャンマー、2019年−)

 自然災害と人間居住

  大規模災害と参加型の住宅再建調査(インドネシア、2016 -2018年)

  洪水災害常襲集落のフィールド調査(和歌山県本宮町等、2016年−)

  伝統的な石文化とEco-DRR(滋賀県比良地域、2018年−) 

『traverse 新建築学研究』は京都大学建築系教室が編集・発行している機関誌です。17年度より紙媒体での出版を止め、web上で記事を発信していく事となりました。
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2018.10 | 112p
19
インタビュー:米沢隆
workshop:
discussion:
project:
 
 
 
essay:
池田剛介, 大庭哲治, 椿昇, 富家大器, 藤井聡,藤本英子
倉方俊輔,高須賀大索,西澤徹夫
竹山研究室「驚きと喜びの場の構想」
平田研究室「建築が顔でみちるとき」
布野修司,竹山聖, 金多隆, 牧紀男, 柳沢究,小見山陽介
18
2017.10 | 112p
インタビュー:五十嵐淳
interview:
project:
essay:
三谷純,奥田信雄,魚谷繁礼,
五十嵐淳
竹山研究室「脱色する空間」
竹山聖,​大崎純, 小椋大輔, 布野修司,古阪秀三, 牧紀男, 
Galyna SHEVTSOVA
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インタビュー:野又穫
2016.10 | 128p
interview:
project:
essay:
野又穫,松井るみ,石澤宰,柏木由人
​竹山研究室「無何有の郷」
​竹山聖,山岸常人,布野修司,三浦研,牧紀男,古阪秀三,川上聡
16
2015.10 | 96p
インタビュー:石山友美
interview:
project:
essay:
中野達男,石山友美,TERRAIN architects
竹山研究室「コーラス」
​竹山聖,布野修司,大崎純,古阪秀三,牧紀男
特集:アートと空間
2013.10 | 112p
14
interview:
project:
essay:
松井冬子,井村優三,豊田郁美,アタカケンタロウ
竹山研究室「個人美術館の構想」
竹山聖,布野修司,小室舞,中井茂樹
特集:建築を生成するイメージ
2014.10 | 112p
15
ホンマタカシ,八島正年+八島夕子,高橋和志,島越けい子
ダイアグラムによる建築の構想
​竹山聖,布野修司,大崎純,
古阪秀三,平野利樹
interview:
project:
essay:
20
2020.01 | 112p
インタビュー:
   木村吉成&松本尚子
discussion:
 
project:
 
 
 
essay:
​木村吉成&松本尚子, 宮本佳明,伊藤東凌,井上章一
竹山研究室「オブジェ・アイコン・モニュメント」
神吉研究室「Projects of Kanki lab.」
​金多研究室「自分の仕事を好きにならな」
布野修司,竹山聖, 大崎純, 牧紀男, 柳沢究,清山陽平,成原隆訓,石井貴一

〒615-8540 京都市西京区京都大学桂 京都大学建築系教室

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